CREMA * CREMOSSO BLOG

ナディア・サミュのCUISINE LIBRE（自由な料理）

アレルギーだからと、まわりの人と食の喜びを分かちあうことをあきらめていませんか？

プロヴァンスで22年ミシュランの星を守り続ける女性シェフを母に、レストランで育ったナディア・サミュ。生まれつき小麦粉のタンパク質であるグルテンを受けつけない体質（セルリアック病）の彼女のために、料理人である母は小麦粉を使わない特別なバースデーケーキを作ってくれました。料理は愛情です。

成人したナディアは考えます。どんな人でも等しく「食べる喜び」を享受する権利があるはず。XX抜き、XXはダメ、ではなくアレルギー体質でもっと自由に安心して好きなものを選び、その美味しさをテーブルを囲む親しい人と分かち合えたら…。2012年彼女は立ち上がり、WITH LOVE, ALLERGEN FREEの旗印のもと、CUISINE LIBRE（自由な料理）という食の運動を始めました。

グルテンフリーメニューの開発、レストランのプロデュース、NYでキッチンカーを走らせ、グルテンフリーパンの製造ライン設計に携わり、そして2016年「自由な料理研究所」（Institut cuisine libre）を実家のレストランがある南フランスのプロヴァンスに設立しました。

2014年世界で最も権威のあるパティスリー協会「ルレ・デセール」の国際学会にピエール・エルメより招待され、グルテンフリー・アレルゲンフリーの菓子の必要性と可能性について講義。マドリッドフュージョン、オムニヴォル他国際的な料理学会でも活動の発表を行っています。

そしてこの度、ナディア・サミュを初めて日本へ招聘する運びとなりました。彼女のレシピによるグルテンフリーメニューを実際に体験いただきながら、グルテンフリー先進国のひとつであるフランスの食事情、安心しておいしいものを楽しむ「食のバリアフリー」環境について、彼女の話を聞いていただければ幸いです。

※ナディアの母、レンヌ・サミュがシェフを務める「オーベルジュ・ラ・フニエール」では宿泊中グルテンフリーメニューが楽しめます。その様子はこちらから。

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《ナディア・サミュ来日スケジュール》

■5/18〜31 新宿伊勢丹B2 ビューティーアポセカリーHATAKE カフェにて、 グルテンフリーメニュー「ソルガムきび粉のフォカッチャサンド」を展開（2,160円税込み）。

■5/22 18時より、HATAKEカフェとのコラボレーションとして、同店にてグルテンフリースペシャルディナーとセミナー開催（7,560円税込み）
　5/9 10:30より予約開始
　お問い合わせ＆ご予約 HATAKE カフェ 03-5925-8220



■5/23〜24 Restaurant 8tablish（レストランエイタブリッシュ）にて、グルテンフリー&ヴィーガンセミナー開催  セミプロ向き（10,000円税別） 
　11時〜14時
　★5/23のテーマ Pizza& Focaccia
　★5/24のテーマ Pound Cake & Financier

■5/23&24 Restaurant ８tablish (レストランエイタブリッシュ)にて、ナディア・サミュの”Cuisine libre”（自由な料理)）
　グルテンフリー＆ヴィーガンのスペシャルディナー開催（8,000円税別）
　二部制入替え スタート時間  ①18時30分  ②21時
　会場 レストラン エイタブリッシュ 港区南青山5-10-17 2F
　http://eightablish.com/restaurant/
　お問い合わせ＆ご予約  株式会社エイタブリッシュ
　03-6753-3316
　[email protected]


■5/25 カイハウス（貝印株式会社経営による料理教室）にて「美しく健やかに食す、フランス流Ard de vivre 〜グルテンフリー＆地中海料理のセミナー〜 」
　開催（8,000円税込み）
　Kai House Club会員限定（料理研究家、料理教室主宰者対象）。
　11時〜14時
　お問い合わせ カイハウス [email protected]


■5/18〜31 新宿伊勢丹B2 ビューティーアポセカリーにて、「エイタブリッシュ」によるグルテンフリー＆ヴィーガンスイーツの販売。一部ナディア・サミュのレシピによるグルテンフリースイーツを含む。

■6/1〜8/2 新宿伊勢丹 B1 「マ・パティスリー」にて、「エイタブリッシュ」によるグルテンフリー＆ヴィーガンスイーツの販売。一部ナディア・サミュのレシピによるグルテンフリースイーツを含む。

《ナディア・サミュのプロフィール》

Nadia Sammut 1981年 フランス生まれ 35歳。母はプロヴァンスを代表する一ツ星レストラン「オーベルジュ・ラ・フニエール」（ルールマラン村）のオーナーシェフ レンヌ・サミュ。大学では生化学を専攻。
家業であるレストランのサービス、マネージメントに関わりながら、フードジャーナリストである姉ジュリアと共に食をテーマにしたオーダーメード旅行代理店「トラベル・フード」を設立。

生まれつき小麦粉（グルテン）を受けつけない体質、自らのアレルギー体験を元に、グルテンフリーメニューの開発とアレルゲンフリー食の啓蒙のため、2012年WITH LOVE ALLERGEN FREEを立ち上げる。

パリにて、グルテンフリーレストラン「NOGLU」（ノーグル）オープン時コンセプターとしてメニュー開発を担当。さらにブーランジェリー「エリック・カイザー」にてグルテンフリーパンのレシピ開発、製造ライン監修に当たる。2015年「オーベルジュ・ラ・フニエール」の一部を改装してINSTITUT CUISINE LIBRE（自由な料理研究所）を設立。メニュー・商品開発、研修を行う。

シーズン中は母レンヌと共に「オーベルジュ・ラ・フニエール」の厨房に立ち、すべてのメニューにおいてグルテンフリー食を実現。グルテンフリー、アレルゲンフリー食のリーダーとしてフランス内外で活動する。

L'homme est un maillon de chaine. De la mer à l'assiette...

 

長年仕事で通っていた宮崎。そこで素敵な方々と出会い、東京へと繋いだ縁がこんな素敵な映像になりました。

日本内閣府が世界に向けて日本の素晴らしさを伝えるプロモーションビデオです。宮崎県日南市の油津港に揚がった一尾の魚の旅、2分少々のドラマご覧ください。

日南ことばが懐かしい。また鰹飯食べに行きたいです。

■How Many Men
https://youtu.be/88MLuMMoTO8

Repas à la maison. tagliatelle de semoule de "Tumminia" d'origine sicilienne.

帰国して最初の食事は「トゥミーノ」という古代種のセモリナ粉で作られたパスタ。オリーブオイルとケイパー、レモンのゼストもシシリアから。

生産性はよくないそうですが、乾燥した高温の土地には適していて、タンパク質が多い品種とのこと。普通のパスタよりもそっとした食感ですが、独特な香りがあり、味わい深いです。

Une ballade de nuit à Palerme

パレルモナイトクルージング。

紀元前800年には、フェニキア人がやって来て、紀元前3世紀にはローマの支配下に、その後ビサンチン時代を経てイスラムの支配下に。フェデリコ2世の時代の後、さらにフランス ノルマン人そしてアンジュー家、スペインのアラゴン家の支配に…。街中の歴史的建造物は様々な文明がミルフィーユのように層になっていて興味が尽きません。

旧市街の真ん中には第二次大戦後中に爆撃されて壊れた建物がそのままに残っています。きっと70年なんてこの街にとってはほんの少し前のことなんだろうな。

夕食は地元っ子で賑わうこてこてのシシリア料理トラットリアに。

レモンと燻製魚のサラダは目が醒めるほど酸っぱい。乾燥そら豆と内臓の煮込みはブラジルのフェジョアーダみたいに濃い。塩味のものは徹底的にしょっぱくて、お菓子とデザートは徹底的に甘い！ なんだか嬉しくなりました。現代人の味覚に媚びを売らないこういう店が元気なのはとっても嬉しいです。

あまりに動きが敏速で写真に失敗し、帰り際に後ろ姿だけ撮らせて頂いたベテランのカマリエーレ。背中に職業が表れている。かっこいい。サービスマンを目指す人は一度イタリアに行って欲しいと思います。

ほんの数時間のパレルモでしたが、とっても満足。決して綺麗なところばかりじゃないですが、やっぱり南イタリアの空気好きです。

Fichi d'india (la figue de barbarie)

ついに味わうことが出来ました「フィーグ ド バルバリー」

ウチワサボテンの実です。

モロッコなど北アフリカではポピュラーな果物ですが、ヨーロッパではシシリアの名産。たまたまオリーブオイルの精油所があるサンタ マルゲリータ産が特に有名とのことで、初めて見るサボテン畑にびっくり。

そろそろ季節も終わりでしたが、甘くて上質な実を毎日何個も頂きました。

何か知ってる果物に似ているなぁと思ったら、グアバでした。種にはビタミンEが豊富で上質なオイルに。果肉には殺菌作用、美肌作用があるそうです。

Le marché au centre palerme

ついにパレルモ訪問。
くたくたに加熱しても美味しいブロッコリーは、やっぱり日本のブロッコリーとは違うものだった。

こちらではパスタの具になる「ズッキーナ」は50cmくらいの長さでびっくり。

フィノッキオ買って帰りたい！

 

En plein action au moulin (près du village de Salaparuta en Sicile).

昨日は朝8時から夜9時までよく働きました。
あたり一面が緑の絨毯。

次々と運び込まれる摘み取られたばかりのオリーブを絞って、抽出されるオイルをオリーブ農家さん立会いのもと計量チェック。
青草の香り、カカオの香り、抹茶の香り… 品種や畑によってこんなに印象が異なるとは。




お昼もノンストップだったので知らないおじさんからパンを頂いて搾りたてオリーブオイルを源泉掛け流しのごとくたっぷりとしみ込ませて塩とオレガノをふりかけていただきました。

パン生地の気泡ってオリーブオイルを吸うためにあるのでしょうか？ 最高のしみ具合です。

まるでジュースのようにフルーティーなオイル。オリーブって果実だったんだなとあらためて実感しました。

Je suis de coeur avec vous.

東京から12時間半、ローマで3時間のトランジットを経てシシリアのパレルモに降り立ったのが昨日の夜11時過ぎ。そこで知ったパリのテロはリアルタイムで進行中でした。

すべては分からないイタリア語の中でカミカゼという言葉に自爆テロも含まれていたことを知りました。

親しい友人たちの住む通り、通い慣れた地区の惨事に深い悲しみとやるせない憤りを感じます。

いったい何のしっぺ返しなのか。
亡くなられた多くの方の無念とご家族の気持ちに寄り添うとともに、他人事ではなく今自分に何が出来るのかを日本から離れて考えています。

報復や戦いではない解決法があることを心から信じたいです。

自らセルリアック病と闘ってきた経験から「おいしい」を諦めないとても興味深いナディア・サミュのメニュー開発と研究 この試みを日本に伝えたいと思います

le Mistral entre le ciel et la terre @ La Fenière, Lourmarin, Provence
プロヴァンスの秋。

Riz de Camargue déshére par des canards. La table d'amis
ヨーロッパで初の試み、合鴨農法によるカマルグの長粒米、オリーブオイルとカマルグの塩で頂きました。今日から3日間グルテンフリーの研修です。

ife filled with plenty of colors
カラフルな椅子の色にも負けないカラフルなお召し物のお婆ちゃまたち。プロヴァンスのテラスでサンデーブランチ。人生を楽しむことには天才的な能力を備えたフランス人、見習わねば。

miam miam, le breakfast gluten free @ La Fenière
グルテンフリー、乳製品不使用のケーキ、パン、クッキーで朝食。小麦、乳製品アレルギーの方でもフラストレーションゼロですね。

artare de barracuda, crème de morue, poutargue rapée, fleur de bourrache @ La Fenière
チャーミングな見た目とは正反対、キャビアのようにパンチの効いた味はバラクーダとカラスミの仕業。日本酒が無いのが残念です。プロヴァンス、リュベロンの最後のランチ。

Paris-Lourmarin (libre guliten, libre lactose ) par Nadia Sammut
グルテンフリー、乳製品不使用のパリブレストです。アーモンドミルクがプラリネと合い、とても軽いクリームに。自らセルリアック病と闘ってきた経験から「おいしい」を諦めない。とても興味深いナディア・サミュのメニュー開発と研究。この試みを日本に伝えたいと思います。

Plus au sud...

寒い真冬に季節はずれなギラギラな太陽と真夏の写真ばかりで申し訳ありません。 しばらくアップを怠っておりましたが、自分の原点とも言える南フランスへの旅（7月）をふりかえります。ひそかに夏に思いをはせていただければ…。 そうです！冬至を過ぎたら夏へのカウントダウンはもう始まっているのです。

まずはマルセイユ。2013年はマルセイユが注目された年でした。なんと言ってもMUCEM（ヨーロッパ地中海文明博物館）のオープンが話題となりました。海に向かって張り出したこの古い要塞の向こう側には想像を絶するモダンな建物が待っています！

旧市街地も整備されて「こわい、汚い」マルセイユのイメージが一新されました。環地中海の歴史において大きな役割を果たしてきた港町マルセイユはアラブ、アフリカ文化の入り口でもあります。マルセイユに来る度にフランスの他の地域にはない空気というか、雑多な力強さ、脈々と流れる深い地中海文化を感じ、とても惹かれ、なぜか興奮します。

興奮するといえば、アルルのアリーナ（屋外闘牛場）で初めて観戦した闘牛に興奮して泣いてしまったことを思い出します。自分の中のラテン的血が騒いだ瞬間でした。アルルはマルセイユから西へ80km、プロヴァンスの古い街です。

アルルの南には天然塩が採れることでも有名なカマルグ湿原が広がり、野生のフラミンゴ、白い馬、そして立派な角の大きな牛が生息しています。このおじさんのシャツの背中に赤い牛の刺しゅうがあるの、わかりますか？　そう、彼らこそアメリカ西部より歴史のあるカウボーイなのです。文句なくカッコいいです。闘牛だけでなく、国際写真フェスティバルでも知られた美しい街アルル、何度通ったかわかりません。

そのアルルの郊外で今話題のレストランが、この本の表紙、カマルグの湿原をバックに佇んでいるアルマン・アルナルシェフのレストランLa Chassagnetteです。

プロヴァンスの風雲児アルマン・アルナルの料理は、よい意味でBRUTということばがぴったりな料理です。

生産者と結託しながら、地元の食材の価値を高め、自ら菜園で育てる太陽の恵みを一身に受けたジューシーな素材をストレートに料理に生かします。

アルルを後にして向かったのが、私がフランスで最もお世話になっているプロヴァンスの女性シェフ、レンヌ・サミュのAuberge La Fenièreです。知り合ってから19年。毎年夏になると彼女に会いにLa Fenièreのあるルールマラン村に滞在していた時期がありました。

レンヌ・サミュのキャリアはちょっと変わっています。地中海とは一切関係ないヴォージュ地方出身のレンヌはマルセイユの医大に通っていたころルールマラン村の食堂の息子と恋に落ちて結婚。姑から料理を習います。そして気がついたらミシュラン一つ星の立派なレストランのシェフになり、地中海料理、プロヴァンス料理の伝承者としてフランス内外で活躍しているのです。

いつも笑顔で元気いっぱい、毎日畑で野菜を摘み、毎日キッチンに立っています。働き者を絵にしたような彼女、どんなに忙しくても、問題が起きても、愚痴を言ったりキレたりするところを一度も見たことがありません。

彼女の夫ギー・サミュ（写真左）はマルタ島の出身で、絵に描いたような地中海人。上質な音楽と酒、そして葉巻をこよなく愛し、女性を守る人です。私がこの二人に受けた影響は計り知れません。

さて夜10時頃まで日が沈まないこの時期、毎年La Fenièreの庭で開催している屋外ディナー Dîner blanc（白をテーマにしたディナー）の始まりです。ラフに粋に白を着こなす人々。パリのパーティーとはまた違う、レイドバックした雰囲気が気持ちよいです。

その中でパツンと前髪を揃えた個性的なこの女性は、フードデザイナー、レストランプロデューサー、PRディレクター、執筆家としてマルチな活躍をしているフレデリック・グラッセ・エルメ女史。レンヌ・サミュを私が初めて日本に招聘したときにアシスタントとして来日してくれて以来の付き合いです。
かなりのファッショニスタ。今回久し振りに会えて3日間たくさんエネルギーを注入してもらいました。

そしてもうひとり、マルセイユからプロヴァンスで3日間いっしょに過ごしたナディア・サミュ。レンヌ・サミュの次女です。最初に会った時にはリセエンヌ（高校生）だったのに、いつのまにか立派なレディに。

生まれつき腸に障がいがあり、グルテンを一切受け付けない彼女は親ゆずりの料理のセンスと自らの体験を生かして、アレルギーフリーの食環境を推進するWith love Allergen Freeというムーブメントをひとりで立ちあげました。2014年は彼女の活動を何らかの形で日本に紹介してゆきます。

フレデリックとナディアとの女子会が終わり、エクサン・プロヴァンス駅からTGVに乗って地中海沿岸を走り最終目的地、コートダジュールを目指しました。
20年以上前から何度も往復しているこのコースで私が絶対に見逃したくない景色があります。それがこのCorniche d’Estérelという名の赤い岩山です。車窓いっぱいに広がる風景にいつも夢中でシャッターを切ってしまいます。
青い空との激しいコントラストをつくる赤。地中から生え上がってきたような力強い形。なぜかわからないのですがとても惹かれ、「待ってろよ、絶対また来るから。」といつも勝手に岩に誓うのでした。

私の心の原点南フランスの風景、いかがでしたか？ みなさんがご存知のパリを中心としたフランスのイメージとはちょっと違うかもしれません。南フランスとその根っこにある地中海文化、知れば知るほど不思議な魅力があり、日本との違い、そして共通点を見つけるのがとても楽しいです。

Mon dernier voyage dans le sud de France, la réunion, des rencontres et  découvertes... C’est une région qui m’attire toujours.